簿記2級について調べると、
「合格率が低い」
「3級から一気に難しくなる」
「独学では難しい」
といった情報を目にすることがあります。
これから勉強を始める人にとっては、
「自分でも合格できる資格なのか」
が気になるところでしょう。
実際、2026年6月14日に実施された第173回の統一試験では、簿記2級の実受験者4,821人に対して合格者は728人、合格率は15.1%でした。
一方、2026年4月~6月のネット試験では、受験者33,659人に対して合格者10,749人、合格率は31.9%です。
ただし、この数字だけを見て、
簿記2級は難しすぎる
ネット試験の方が簡単
と判断するのは早いでしょう。
簿記2級の「難しさ」には、
学習範囲が広い
↓
工業簿記が加わる
↓
理解しにくい論点がある
↓
90分で問題を解く必要がある
↓
勉強時間を確保する必要がある
など、いくつかの要素があります。
大切なのは、資格全体を「難しい・簡単」の二択で判断することではありません。
自分にとって何が難しさになるのか
を確認することです。
この記事では、簿記2級の合格率や試験制度を確認したうえで、これから勉強する人がどこを確認しておけばよいのか整理します。
試験科目・試験時間・合格基準の出典:日本商工会議所|2級 試験科目・注意事項(2026年10月31日確認)。
簿記2級の難易度は合格率だけでは判断できない
資格の難易度を調べるとき、分かりやすい数字の一つが合格率です。
2026年10月31日に日本商工会議所の受験者データで確認した範囲では、簿記2級の合格率は次のようになっています。
| 試験方式 | 対象 | 実受験者・受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 統一試験 | 第173回・2026年6月14日 | 4,821人 | 728人 | 15.1% |
| ネット試験 | 2026年4月~6月 | 33,659人 | 10,749人 | 31.9% |
出典:日本商工会議所|簿記 受験者データ(2026年10月31日確認)。統一試験は1回分、ネット試験は3か月分の集計で、受験者も同一ではありません。自分の合格確率や試験方式の易しさを直接表す数字ではありません。
統一試験だけを見ると、合格率15.1%です。
この数字を見て、
「自分には難しすぎるのでは?」
と感じる人もいるでしょう。
しかし、合格率は受験者のうち何人が合格したかを表す数字であって、一人ひとりにとっての難易度を直接表しているわけではありません。
受験するまでにどの程度勉強したのか、簿記の学習経験があるのかといった条件は人によって異なります。
そのため、
合格率15.1%だから、自分が合格できる確率も15.1%
という意味ではありません。
合格率は試験について知るための一つのデータとして使い、自分が対応できるかどうかは別に考えます。
簿記2級の合格基準は70%以上
日商簿記2級の試験科目は、
- 商業簿記
- 工業簿記(原価計算を含む)
です。
試験時間は90分で、5題以内が出題され、合格基準は70%以上です。
つまり、簿記2級の勉強では、
知識を覚える
だけではなく、
問題を解く
↓
必要な処理を判断する
↓
計算する
↓
90分の中で70%以上を取る
ところまで必要になります。
テキストを読んで内容を理解できることと、本試験形式の問題で合格点を取れることは同じではありません。
学習が進んだら、基本問題だけではなく、本試験形式の問題を使った練習も必要になります。
関連記事:簿記2級の過去問・予想問題はいつから?本試験対策へ進むタイミングを解説
統一試験とネット試験で合格率が違う=難易度が違うとは限らない
先ほど確認したように、直近のデータでは、
第173回統一試験:15.1%
2026年4月~6月ネット試験:31.9%
と合格率に差があります。
数字だけを見ると、
「ネット試験の方が簡単なのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、日本商工会議所は、統一試験、団体試験、ネット試験について、出題範囲や問題の難易度は同じと説明しています。
また、統一試験の15.1%は2026年6月14日に実施された一回の試験結果です。
一方、ネット試験の31.9%は2026年4月~6月という期間の受験者を集計した数字です。
対象となる受験者や集計期間も同じではありません。
したがって、
15.1%と31.9%という合格率の差だけを理由に、ネット試験の問題の方が簡単だと判断することはできません。
受験方式を選ぶときは、合格率だけではなく、
- 受験日をどう決めたいか
- パソコンと紙のどちらで解きやすいか
- 近くで受験できる日程があるか
なども確認しましょう。
関連記事:簿記2級はネット試験と統一試験どっちがいい?違いと選び方を解説
簿記2級が難しく感じやすい5つの理由
では、簿記2級の何が難しいのでしょうか。
「簿記2級は難しい」とまとめるのではなく、具体的に分けてみます。
理由① 3級より学習範囲が広がる
簿記3級では商業簿記を学びます。
2級になると商業簿記の学習内容が広がり、さらに工業簿記も加わります。
そのため、
「3級はそれほど苦労しなかったのに、2級になったら急に覚えることが増えた」
と感じることがあります。
この場合は、
3級と2級で何が変わったのか
を先に整理すると、これから学習する内容を把握しやすくなります。
3級の内容を忘れている場合も、2級へ進む前にすべてを最初からやり直す必要があるとは限りません。
必要な基礎を確認してから2級へ進みます。
関連記事:簿記2級は3級と何が違う?勉強を始める前に知っておきたい5つの違い
理由② 工業簿記が加わる
簿記2級では、商業簿記に加えて工業簿記も試験科目になります。
日本商工会議所は工業簿記について、企業内部で部門別や製品別の材料・燃料・人力などの資源投入を記録・計算する技能と説明しています。
3級で商業簿記を学習してきた人にとっては、新しく学ぶ分野です。
そのため、
「商業簿記と考え方が違って分からない」
「計算方法が増えて混乱する」
と感じることがあります。
ただし、
工業簿記が難しい
とまとめてしまうと、何を復習すればよいか分かりません。
用語が分からないのか、計算の流れが分からないのか、基本問題はできるのに総合問題で止まるのかによって対策は変わります。
工業簿記でつまずいた場合はこちらで原因を分けて確認できます。
関連記事:簿記2級の工業簿記は難しい?苦手になる前に知っておきたい勉強の進め方
理由③ 商業簿記にも理解しにくい論点がある
2級の商業簿記でも、学習を進める中で特定の論点につまずくことがあります。
たとえば、
「仕訳ができない」
という場合でも、
借方・貸方が分からない
のか、
勘定科目を選べない
のか、
単独の仕訳はできるが総合問題で使えない
のかによって、戻る場所が変わります。
関連記事:簿記2級の仕訳ができないときは?覚え方より先に確認したい5つの原因
また、連結会計でも、
連結会計の目的が分からない
資本連結で止まる
個別処理はできるが総合問題で崩れる
など、つまずく段階は異なります。
関連記事:簿記2級の連結会計がわからないときは?つまずく原因と勉強する順番を解説
一つの論点で止まったからといって、
「簿記2級そのものが自分には難しい」
と判断する必要はありません。
まず、その論点のどこで止まっているのかを確認します。
理由④ 知識だけでなく90分で問題を解く必要がある
テキストを読めば内容は理解できる。
基本問題も時間をかければ解ける。
それでも本試験形式になると点数が取れないことがあります。
簿記2級は90分の試験です。
そのため最終的には、
問題を理解できる
だけではなく、
必要な処理を判断する
↓
計算する
↓
解答する
ところまで一定の時間内で進める必要があります。
本試験形式で点数が取れなかった場合も、
「理解できていない」
とすぐ判断しないようにしましょう。
未学習だったのか、忘れていたのか、計算を間違えたのか、時間が足りなかったのかによって対策は変わります。
本試験対策では、点数だけでなく失点した原因を確認します。
理由⑤ 社会人は勉強時間の確保も必要になる
資格そのものの内容とは別に、社会人にとって問題になりやすいのが勉強時間です。
仕事をしながら勉強する場合、
「毎日何時間も勉強する」
という計画を立てても、続けられないことがあります。
このとき、
「簿記2級には○時間必要だから無理」
と総勉強時間だけを見るのではなく、
自分は1週間に何時間勉強できるか
を確認します。
たとえば同じ総勉強時間でも、週5時間取れる人と週15時間取れる人では、受験までに必要な期間が変わります。
先に現実的な週間学習時間を確認し、そこから受験時期を考えましょう。
関連記事:簿記2級の勉強時間は何時間?社会人が「何か月かかるか」を週の勉強時間から計算
「難しい」と感じたら何が難しいのかを分ける
簿記2級について、
「難しそうだから自分には無理かもしれない」
と感じたら、何が不安なのかを具体的にします。
| 不安・つまずき | 確認すること |
|---|---|
| 3級から急に難しくなりそう | 3級と2級の違い |
| 勉強時間を取れない | 週に確保できる学習時間 |
| 工業簿記が分からない | どの段階で止まっているか |
| 仕訳ができない | 借方・貸方、勘定科目、演習状況 |
| 連結会計が分からない | 資本連結・成果連結・総合問題など |
| 本試験で70点に届かない | 失点した原因 |
| 独学で続けられるか不安 | 独学を続ける条件 |
「簿記2級は難しい」という一つの問題に見えても、実際の原因は違います。
原因が違えば、次にすることも変わります。
資格全体の難易度を調べ続けるより、
自分が不安に感じている部分を一つ特定する
方が、具体的な行動につなげやすくなります。
3級を持っていなくても簿記2級を目指せる?
「簿記2級は難しい」と聞いて、
「まず3級に合格してからでなければ2級を受けられないのでは?」
と思う人もいるかもしれません。
日商簿記2級を受験するために、3級へ合格していることが受験資格として求められているわけではありません。
そのため、3級を取得していなくても2級を目指すことはできます。
ただし、
3級の資格を持っていないこと
と、
3級レベルの基礎知識が必要ないこと
は別です。
2級の学習を始めて、
- 借方・貸方で毎回迷う
- 基本的な仕訳が分からない
- 簿記の基本的な考え方が分からない
という状態なら、必要な3級範囲まで戻って確認した方が進めやすくなります。
3級を受験するかどうかと、3級レベルの内容を学習するかどうかは分けて考えましょう。
独学では難しいかどうかは途中でも判断できる
「簿記2級は難しいなら、最初から通信講座を使うべき?」
と迷うこともあります。
しかし、難易度だけを理由に学習方法を決める必要はありません。
独学で始められる条件がそろっているなら、まず独学で学習を始め、その後の進み方を見て判断する方法もあります。
たとえば、
予定どおり学習が進んでいる
分からないところを自分で解消できている
基本問題から本試験形式へ進めている
のであれば、独学を続ける選択肢があります。
反対に、
複数の論点で長期間止まる
何を勉強すればよいか自分で判断できない
質問できないことが原因で学習が進まない
といった状態なら、学習方法を見直す意味があります。
まず独学で始めるかどうかはこちらで整理しています。
関連記事:簿記2級は独学で合格できる?始め方と「独学を続けるか」の判断基準
すでに勉強を始めていて、独学を続けるか通信講座へ切り替えるか迷っている場合はこちらです。
関連記事:簿記2級は独学と通信講座どちらがいい?途中で切り替える判断基準も解説
簿記2級を目指すか4段階で判断する
「難しそう」という理由だけで受験を諦める前に、4段階で確認してみましょう。
STEP1 3級レベルの基礎を確認する
まず、現在の簿記知識を確認します。
3級を取得しているかどうかだけではなく、
基本的な仕訳を理解できるか
を見ます。
基礎が不足しているなら、必要な範囲だけ3級へ戻ります。
STEP2 週に確保できる勉強時間を確認する
次に、
「毎日○時間勉強する」
ではなく、
現実的に1週間で何時間取れるか
を考えます。
平日に時間を取れないなら休日を含めても構いません。
継続できる学習時間から、受験時期を逆算します。
STEP3 実際に学習を始める
難易度の記事をいくら読んでも、自分がどこでつまずくかまでは分かりません。
条件が整っているなら、実際に学習を始めます。
そこで、
商業簿記は理解できる
工業簿記で止まる
仕訳の基礎から不安
など、自分の状況が具体的になります。
STEP4 つまずいた原因から学習方法を見直す
勉強を始めた後に問題が出てきたら、
「簿記2級は難しいから無理」
とまとめません。
何が原因で進まないのか
を確認します。
教材の問題なのか、特定の論点なのか、演習不足なのか、勉強時間なのか、独学という学習方法そのものなのかを分けます。
原因が分かれば、
そのまま続ける
基礎へ戻る
教材を見直す
学習方法を変える
といった次の行動を選べます。
簿記2級は「難易度」より自分が対応できる条件か確認しよう
簿記2級は、商業簿記と工業簿記を90分で解き、70%以上を取る必要があります。
また、実際の合格率を見ると、統一試験で15%前後になる回もあります。
ただし、
合格率が低い
=
自分には合格できない
ではありません。
また、
ネット試験の合格率が高い
=
ネット試験の問題が簡単
とも判断できません。
これから簿記2級を目指すなら、
3級レベルの基礎はあるか
↓
週にどの程度勉強できるか
↓
実際にどこでつまずくか
↓
その原因を自分で解消できるか
という順番で確認します。
「簿記2級は難しい資格なのか」という一般的な評価だけではなく、
自分にとって何が難しく、その問題には対応できるのか
まで考えることが、勉強を始めるか判断する材料になります。

