簿記3級に合格したあと、
「このまま2級の勉強を始めて大丈夫?」
「2級になると何が難しくなる?」
「3級を忘れているけど、復習してから進むべき?」
と迷う人もいるでしょう。
簿記2級は3級で学んだ商業簿記を土台にしますが、単純に「3級の問題が少し難しくなる」だけではありません。
2級では商業簿記の学習範囲が広がり、さらに工業簿記も加わります。
そのため、
3級の延長としてそのまま勉強する
というより、
3級の基礎を確認する
↓
2級で増える学習内容を把握する
↓
必要な勉強時間と教材を決める
↓
問題演習・本試験対策まで進める
と考えた方が学習計画を立てやすくなります。
この記事では、簿記3級から2級へ進むと何が変わるのかを5つに分け、2級の勉強を始める前に何を確認すればよいか整理します。
簿記2級は3級の延長だけではない
日本商工会議所は、簿記3級を「基本的な商業簿記」を修得し、経理関連書類を適切に処理するために求められるレベルとしています。
一方、2級では「高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)」を修得し、企業活動や会計実務を踏まえた処理や分析を行うレベルとされています。
大きな違いを整理すると、次のようになります。
| 比較項目 | 3級 | 2級 |
|---|---|---|
| 主な試験科目 | 商業簿記 | 商業簿記・工業簿記 |
| 商業簿記 | 基本的な内容 | より広い内容を学ぶ |
| 工業簿記 | なし | あり(原価計算を含む) |
| 試験時間 | 60分 | 90分 |
| 合格基準 | 70%以上 | 70%以上 |
| 学習量 | 比較的少ない | 増える |
合格基準はどちらも70%以上ですが、2級では学習する内容そのものが増えます。
したがって、「3級に合格できたから、同じ勉強量を続ければ2級にも合格できる」とは限りません。
3級から何が変わるのかを先に把握して、2級向けに学習計画を作り直すことが重要です。
違い① 商業簿記で学ぶ範囲が広がる
3級と2級の両方に商業簿記があります。
そのため、3級で身につけた、
仕訳
↓
帳簿
↓
決算
↓
財務諸表
といった基本的な考え方は2級でも土台になります。
ただし、2級では3級と同じ範囲だけを繰り返すわけではありません。
出題区分表を見ると、2級では3級で学ぶ内容を基礎として、より上位の商業簿記の内容が加わります。
つまり、
3級と2級は完全に別の資格
ではありませんが、
3級の知識だけで2級の商業簿記まで対応できる
わけでもありません。
ここで重要なのは、3級の内容を最初からすべて勉強し直すことではなく、2級の学習を進めるための基礎が残っているかを確認することです。
特に、
- 借方・貸方を判断できる
- 基本的な仕訳ができる
- 勘定科目の基本的な意味が分かる
- 決算整理から財務諸表へつながる流れを理解している
といった土台が曖昧なら、2級を始める前後で3級の該当部分を復習する意味があります。
反対に、基本的な仕訳や決算の流れを理解できているなら、3級教材を最初から最後までやり直してから2級へ進む必要はありません。
違い② 2級では工業簿記が加わる
3級から2級へ進むときの大きな変化が、工業簿記です。
2級の試験科目は、
商業簿記
+
工業簿記(原価計算を含む)
です。
日本商工会議所は工業簿記について、企業内部で部門別・製品別の材料、燃料、人力などの資源投入を記録・計算する技能と説明しています。
3級では基本的な商業簿記を学ぶため、工業簿記は2級から新たに学ぶ領域になります。
そのため、
「まず商業簿記を完璧にしてから工業簿記を始めよう」
と考えていると、工業簿記に取りかかる時期が遅くなることがあります。
2級の試験では商業簿記だけではなく工業簿記も出題されます。
2級の勉強を始める段階から、商業簿記だけでなく工業簿記も学習する必要があると考えて計画を立てましょう。
違い③ 必要な勉強時間が増えやすい
2級では商業簿記の範囲が広がり、工業簿記も加わります。
そのため、3級と同じ感覚で学習期間を決めない方が安全です。
特に社会人の場合、
「2級には何時間必要か」
という総勉強時間だけを確認しても、自分がいつ受験できるのかは分かりません。
重要なのは、
自分が1週間に何時間勉強できるか
です。
たとえば同じ学習量でも、週5時間勉強できる人と週15時間勉強できる人では、必要な期間が大きく変わります。
また、
- 3級を勉強したばかり
- 3級合格から数年たっている
- 3級を受験せず2級から勉強する
といったスタート地点によっても必要な時間は変わります。
2級を受験したい時期が決まっているなら、まず週に確保できる勉強時間から学習期間を計算してみましょう。
関連記事:簿記2級の勉強時間は何時間?社会人が「何か月かかるか」を週の勉強時間から計算
違い④ テキストを読むだけでなく問題演習が重要になる
3級でも問題演習は必要ですが、2級でも、
テキストを理解した=問題を解ける
とは限りません。
新しい論点を読んで理解した後は、自分で仕訳や計算をして正解できる状態にする必要があります。
基本的には、
テキストなどで論点を理解する
↓
対応する問題を解く
↓
間違えた部分を確認する
↓
もう一度問題を解く
という流れを繰り返します。
特に2級では商業簿記に加えて工業簿記も学ぶため、教材を読むだけで学習を進めていると、理解したつもりの範囲が増えてしまうことがあります。
そのため教材を選ぶときも、
「分かりやすいテキストはどれか」
だけではなく、
その教材で問題演習までどう進めるか
を確認することが重要です。
簿記2級の教材をどこまでそろえればよいか迷っている場合は、学習段階ごとに必要な教材を整理してから選ぶとよいでしょう。
関連記事:簿記2級のテキストはどう選ぶ?独学で必要な教材と買い足す判断基準
違い⑤ 本試験を意識した仕上げが必要になる
簿記2級は、商業簿記と工業簿記を5題以内、90分で解き、70%以上を取ることが合格基準です。
そのため、各論点を個別に解けるようになった後は、
本試験形式で複数の問題を解く
↓
時間配分を確認する
↓
間違えた論点へ戻る
という仕上げが必要になります。
ここで確認したいのは、単に「全部の問題を解けるか」だけではありません。
90分という限られた時間の中で、
- どの問題から解くか
- 一つの問題に時間を使いすぎていないか
- 見直す時間を残せるか
といった点も確認します。
また、簿記2級にはパソコンで受験するネット試験と、ペーパー形式の統一試験があります。
出題範囲・問題の難易度・合格基準は同じですが、解答環境や受験日の決め方が異なります。
学習が進んできたら、自分がどちらの方式で受験するかも決めておきましょう。
関連記事:簿記2級はネット試験と統一試験どっちがいい?違いと選び方を解説
簿記3級を忘れていても2級へ進んでいい?
3級に合格してから時間がたっている場合、
「3級を全部復習してから2級へ進んだ方がいい?」
と迷うかもしれません。
しかし、3級教材を最初から最後までやり直す必要があるとは限りません。
まず簡単な3級レベルの問題を解いてみて、
基本的な仕訳ができるか
↓
借方・貸方を判断できるか
↓
決算までの基本的な流れを理解しているか
を確認します。
問題なく解けるのであれば、2級の学習へ進み、必要になった部分だけ3級へ戻る方法があります。
一方、
「借方と貸方からかなり忘れている」
「基本的な仕訳で何度も止まる」
「決算整理がほとんど分からない」
という状態なら、先に3級の基礎を復習した方が2級を進めやすくなります。
つまり、
3級を忘れている=2級を始めてはいけない
ではありません。
判断したいのは、2級を理解するための土台がどの程度残っているかです。
簿記3級を持っていなくても2級を目指せる
簿記2級を目指すために、先に3級へ合格していなければならないわけではありません。
そのため、
3級を受験する
↓
合格してから2級を受験する
という順番に必ずしもする必要はありません。
ただし、
3級の資格を持っていること
と、
3級レベルの知識を理解していること
は別の話です。
2級の商業簿記は、簿記の基本的な考え方を理解していることを前提に学習を進めることになります。
3級を受験しない場合でも、
- 簿記の基本原理
- 仕訳
- 帳簿
- 決算
- 財務諸表の基本
など、3級で扱う基礎を理解してから2級の内容へ進む方が学習しやすくなります。
「3級を受験する必要があるか」と「3級の勉強をする必要があるか」を分けて考えましょう。
3級から2級へ進む前に確認する3つのこと
ここまでの違いを踏まえて、2級の勉強を始める前に3つ確認します。
STEP1 3級の基礎が残っているか
まず、3級で学んだ基本的な仕訳や決算の流れを確認します。
問題なく理解できるなら、そのまま2級へ進みます。
かなり忘れている場合は、2級を始める前後で必要な範囲を復習します。
ここで3級全体を完璧にすることを目的にする必要はありません。
2級の学習を進められる程度まで基礎を戻す
ことが目的です。
STEP2 週に何時間勉強できるか
次に、2級の学習時間を確保します。
「毎日勉強する」と曖昧に決めるのではなく、
平日30分×5日
+
休日2時間×2日
=週6.5時間
というように、現実的に確保できる時間を計算します。
その時間から受験時期を考えます。
STEP3 独学で進めるか確認する
最後に学習方法を決めます。
3級を独学できたからといって、必ず2級も同じ方法で勉強しなければならないわけではありません。
反対に、
「2級は難しいらしいから通信講座が必要」
と最初から決める必要もありません。
まず独学で始められる条件がそろっているか確認し、学習を始めた後も、
内容を理解できているか
↓
問題演習へ進めているか
↓
予定したペースで学習できているか
を確認します。
問題なく進んでいるなら、そのまま独学を続けられます。
うまく進まない場合は、原因を確認して教材や学習方法を見直します。
関連記事:簿記2級は独学で合格できる?始め方と「独学を続けるか」の判断基準
2027年度以降に受験する場合は出題区分を確認する
簿記検定では、出題区分表が改定されることがあります。
2026年度試験、つまり2027年3月31日までに施行される試験には、2022年度版の出題区分表が適用されます。
一方、2027年4月1日からは2027年度版の出題区分表が適用されます。
そのため、2027年度以降に2級を受験する予定なら、教材を購入するときに自分が受験する年度の出題範囲へ対応しているかを確認してください。
特に古い3級・2級教材を持っている場合は、「以前買ったからそのまま使える」と判断せず、現在の出題区分との違いを確認してから使用しましょう。
3級との違いを知ってから2級の勉強を始めよう
簿記2級は、3級の知識を土台にしながら、より広い商業簿記と工業簿記を学ぶ試験です。
3級から2級へ進むと、
商業簿記の範囲が広がる
↓
工業簿記が加わる
↓
必要な学習量が増える
↓
問題演習を重ねる
↓
本試験形式で仕上げる
という変化があります。
だからといって、3級の内容を完璧にしてからでなければ2級へ進めないわけではありません。
まず3級の基礎がどの程度残っているかを確認し、不足している部分があれば復習する。
そのうえで、週に確保できる勉強時間を確認し、2級の学習を始めます。
これから独学で始めるか迷っているなら、次に独学を始める条件を確認してみましょう。

