簿記2級は商業簿記と工業簿記どっちから?理解度と進捗で決める勉強順序

簿記2級

簿記2級は、3級の基礎があり、どちらから始めるか迷うなら商業簿記から始めるのがおすすめです。ただし、商業簿記を完璧にしてから工業簿記へ進む必要はありません。

3級の内容が曖昧なら基礎の復習を先に。工業簿記が未着手、商業簿記の一つの論点で止まっている場合は、工業簿記も早めに学習計画へ入れましょう。

この記事では、3級の理解度・残りの学習期間・現在の進捗から、最初の科目とその後の進め方を選びます。

商業簿記と工業簿記はどちらから?条件別に選ぶ

TACの学習順序に関するFAQでは、どちらからでも内容上は問題なく、3級の続きである商業簿記から始めると学習しやすい可能性があると案内しています。

これを踏まえ、迷った場合は商業簿記を出発点にし、現在の進捗で調整する方針を提案します。試験で学習順が指定されているわけではありません。

現在の条件最初・次に優先する学習もう一方の扱い
3級の仕訳・決算が曖昧3級の必要箇所を復習して商業簿記へ借方・貸方の基礎を確認し、工業簿記の導入へ
3級の基礎があり、両方とも未着手迷うなら商業簿記から工業簿記の開始日も計画に入れる
3級の基礎があり、工業簿記の内容を先に知りたい工業簿記からでもよい商業簿記の仕訳復習と新しい論点を残す
商業簿記を進めているが工業簿記は未着手工業簿記の導入と基本問題を始める商業簿記の進行・弱点復習は続ける
工業簿記ばかり進み、商業簿記は未着手商業簿記を始める工業簿記の学習済み問題を復習する
残りの学習枠に余裕がなく、片方に未学習範囲が多い未学習範囲を先に計画へ組み込む両科目の基本問題と通し演習の枠を確保する
両科目を一通り学習し、基本問題を自力で解ける本試験形式の演習へ誤答の論点に戻って補強する

工業簿記が得点源になるかは、実際に問題を解いて確かめる必要があります。「工業簿記からなら必ず短期間で合格」とは考えず、未学習と苦手を分けて順序を決めましょう。

商業簿記と工業簿記は何が違う?

日商簿記2級の試験科目は、商業簿記と工業簿記です。

工業簿記には原価計算も含まれます。

日本商工会議所は、商業簿記について、購買活動や販売活動など企業外部との取引を記録・計算し、決算書の作成などにつなげる技能と説明しています。

一方、工業簿記は、企業内部における部門別・製品別の材料や人力などの資源投入を記録・計算する技能です。

3級で学習するのは商業簿記なので、3級を勉強してきた人にとっては商業簿記にすでに触れています。

2級になると商業簿記の学習範囲が広がり、さらに工業簿記が加わります。

つまり、

商業簿記=3級から続く分野

工業簿記=2級から新しく加わる分野

という違いがあります。

3級から2級で何が変わるのかを先に確認したい場合はこちらで整理しています。

関連記事:簿記2級は3級と何が違う?勉強を始める前に知っておきたい5つの違い

試験科目・90分の試験時間・合格基準70%以上は、日本商工会議所の2級試験科目・注意事項で確認できます。工業簿記でも借方・貸方など簿記の基本ルールを使います。

3級の内容が曖昧なら商業簿記の基礎を先に確認する

3級をかなり前に勉強した人や、3級を受験せず2級から勉強する人は、商業簿記の基礎から確認する方法があります。

特に、

借方・貸方で迷う

基本的な仕訳が分からない

決算までの基本的な流れが分からない

という状態なら、2級の勉強順序以前に基礎を確認した方が進めやすくなります。

ただし、

「3級の内容を完璧にしてからでなければ2級へ進めない」

と考える必要はありません。

2級を勉強しながら基礎不足が見つかったところで、必要な3級範囲へ戻る方法もあります。

重要なのは、

3級に合格しているか

ではなく、

2級の学習に必要な基礎を使えるか

です。

基本的な仕訳で何度も止まる場合は、商業簿記を先へ進める前に原因を確認しましょう。

関連記事:簿記2級の仕訳ができないときは?覚え方より先に確認したい5つの原因

3級の理解度は、合否ではなく手元の問題で確認する

3級の教材から、商品売買の仕訳、減価償却や経過勘定などの決算整理、決算整理後の財務諸表の基本問題を選びます。

  • 解説を見ずに処理できる:2級の学習へ進み、必要な箇所だけ復習する
  • 勘定科目や借方・貸方で止まる:仕訳の基礎へ戻る
  • 仕訳はできるが財務諸表へつなげられない:決算の流れを復習する

全問題に共通する正答率の基準は設けません。どこで手が止まったかを見て、復習対象を選んでください。

3級の基礎があるなら「最初の科目」より両方を進める

商業簿記から始めれば3級の知識を使えます。工業簿記から始めれば新しい分野を早めに確認できます。どちらでも、次にもう一方を始める予定を入れてください。

重要なのは「一科目を完璧にしたら次」ではなく、最終的に両科目の基本問題を自力で解き、試験形式で組み合わせられる状態にすることです。

商業簿記を全部終えてから工業簿記に進む必要はない

連結会計など一つの論点で止まっていても、工業簿記の導入へ進めます。ただし、借方・貸方などの共通する基礎に問題があるなら、その復習を先に行います。

商業簿記の新しい論点と工業簿記の導入を、別の学習枠に置く方法があります。毎回細かく科目を切り替えるより、例題から基本問題までを一区切りにすると進捗を確認しやすくなります。

工業簿記から始めても商業簿記を後回しにしすぎない

工業簿記から始める場合も、商業簿記の学習枠を計画に入れます。3級の仕訳復習だけでは、2級で増える商業簿記の範囲を学び終えたことにはなりません。

工業簿記の学習が進まないときは、簿記2級の工業簿記でつまずく原因と勉強の進め方を確認してください。

片方でつまずいたら、もう片方の学習まで止めない

商業簿記と工業簿記を勉強していると、片方だけ進まなくなることがあります。

このとき、

つまずいている科目を放置する

のも、

その科目が解決するまで簿記2級の学習全体を止める

のも避けたいところです。

まず、止まっている原因を確認します。

たとえば工業簿記なら、

用語が分からない

計算の流れが分からない

解説を見れば分かるが自力で解けない

総合問題になると解けない

などに分けられます。

商業簿記でも同じです。

仕訳そのものに問題があるなら、仕訳の基本へ戻ります。

連結会計だけで止まっているなら、連結会計のどの段階で止まっているのか確認します。

関連記事:簿記2級の連結会計がわからないときは?つまずく原因と勉強する順番を解説

一方の弱点を確認している間も、もう一方で進められる学習があるなら続けます。

たとえば、

商業簿記の連結会計で止まる
↓
連結会計は基本問題へ戻る
+
工業簿記の学習は進める

という進め方です。

一つの論点を、簿記2級全体のボトルネックにしないようにします。

商業簿記と工業簿記を並行するときの進め方

毎日両方を半分ずつ学ぶ必要はありません。「新しい内容を学ぶ科目」と「既習範囲を復習する科目」を分ける方法もあります。以下は予定の組み方の例で、必要時間や合格効果を保証するものではありません。

条件別の例学習の組み方見直す合図
3級を学んだ直後・両科目未着手商業簿記の例題と基本問題を一区切り進め、次の学習枠で工業簿記の導入を始める商業簿記の一論点のために工業簿記の開始が延び続ける
学習期間に余裕がある新しい論点は主に一科目で進め、もう一方には既習問題の復習枠を置く読んだ章だけ増え、基本問題を解く機会がない
試験までの学習枠が少ない両科目の未学習章・復習対象・通し演習を一覧にし、残りの枠へ割り当てるどちらかの主要範囲や通し演習の予定が入らない
商業簿記の連結会計で止まっている連結会計の基本問題へ戻りながら、工業簿記の学習は続ける連結会計を避け続け、復習の予定もない
工業簿記が先に一通り終わった商業簿記の新しい論点を進め、工業簿記は基本問題で維持する工業簿記が以前のように解けなくなっている

期間を「3か月なら工業先行」のように一律に決めず、実際に確保できる学習枠で判断します。計画に入りきらない場合は、順番だけで解決しようとせず、学習時間や受験時期も見直してください。

週に確保できる時間からの逆算は、簿記2級の勉強時間と学習期間の考え方で整理しています。

両方の基本問題が解けたら本試験形式へ進む

商業簿記と工業簿記を学習したら、いつまでも科目別の基本問題だけを続けるわけではありません。

簿記2級は、商業簿記と工業簿記を合わせて90分で解く試験です。

そのため学習が進んだら、

商業簿記の基本問題

+

工業簿記の基本問題

から、

本試験形式の問題

へ進みます。

ここで初めて、

「商業簿記は理解できているが時間がかかる」

「工業簿記の特定論点だけ間違える」

「個別問題なら解けるが、試験形式になると点数が取れない」

といった別の課題が見えてくることがあります。

本試験形式へ進むタイミングは、試験までの日数だけで決める必要はありません。

基本問題を自力で解ける状態になっているかを確認します。

関連記事:簿記2級の過去問・予想問題はいつから?本試験対策へ進むタイミングを解説

勉強順序を3段階で決める

STEP1 3級の基礎を確認する

手元の仕訳・決算整理の基本問題で、止まる場所を確認します。基礎が残っていて迷うなら商業簿記から始めます。

STEP2 商業簿記と工業簿記の両方を学習範囲に入れる

次の学習予定に、もう一方の開始・復習も書き込みます。主な科目を決めても、片方を放置しない計画にします。

STEP3 片方の進捗が止まっていないか確認する

計画を見直すときは両科目の「未学習・基本問題は解ける・復習が必要」を確認します。開始順ではなく、現在の不足に合わせて配分を変えてください。

「どっちから」より片方を放置しないことが重要

迷うなら商業簿記から、基礎が曖昧なら3級の必要箇所から始めましょう。既に片方を学んでいるなら、最初から順番を組み直すより、もう一方の学習枠を追加します。

次の学習では、冒頭の条件表から自分に近い行を選び、「主に進める科目」「もう一方で取り組む内容」「進捗を確認する日」を決めてください。

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