簿記2級の仕訳ができないときは?覚え方より先に確認したい5つの原因

簿記2級

簿記2級の勉強を進めていると、

「仕訳がなかなか覚えられない」
「借方と貸方が逆になる」
「解説を読めば分かるのに、自分では仕訳できない」

と悩むことがあります。

このとき、すぐに仕訳問題を大量に解いたり、新しい問題集を買ったりする必要があるとは限りません。

同じ「仕訳ができない」でも、つまずいている原因によって必要な対策は異なります。

仕訳ができないときは、次の基準で対策を選びましょう。

  • 借方・貸方で迷う → 3級の基本仕訳に戻る
  • 勘定科目が分からない → 取引内容と科目の意味を確認する
  • 解説を見れば分かる → 解説なしで解く練習を増やす
  • 同じ仕訳を間違える → 間違いの原因を記録する
  • 総合問題で解けない → 個別仕訳から総合問題の演習へ進む

大切なのは、仕訳問題を何問解くかより、今の自分に必要な練習を選ぶことです。

この記事では、簿記2級で仕訳ができない原因を5つに分け、それぞれ何を見直せばよいのか整理します。

簿記2級でも仕訳は学習の土台になる

簿記3級で仕訳を勉強した人でも、2級になると再び仕訳でつまずくことがあります。

これは、3級で学んだ内容がすべて無駄になったということではありません。

簿記2級では、3級で身につけた簿記の基本的な考え方を使いながら、より広い商業簿記を学習します。

そのため、

取引を確認する
↓
何が増減したのか考える
↓
使う勘定科目を判断する
↓
借方・貸方へ分ける

という仕訳の基本的な考え方は引き続き重要です。

一方、2級では学習する論点が増えるため、

「3級では仕訳できたのに、2級になったら分からなくなった」

ということもあります。

この場合、仕訳そのものの基礎を忘れているのか、それとも新しく学んだ2級の論点を理解できていないのかを分けて考える必要があります。

仕訳は勘定科目を丸暗記するだけでは解けない

仕訳問題を勉強するとき、

「この取引ならこの仕訳」

という形だけを覚えようとすることがあります。

もちろん、学習を続ければ頻繁に使う仕訳は自然に覚えていきます。

ただし、仕訳の形だけを覚えていると、問題文や取引の条件が変わったときに迷いやすくなります。

仕訳するときは、いきなり勘定科目を思い出そうとするのではなく、

① どのような取引が起きたのか
↓
② 何が増えた・減ったのか
↓
③ それをどの勘定科目で表すのか
↓
④ 借方・貸方のどちらに記録するのか
↓
⑤ 金額はいくらになるのか

と順番に考えます。

仕訳を間違えたときも、この5段階のどこで間違えたのかを確認すると原因を見つけやすくなります。

原因① 借方・貸方の判断で止まる

問題文の意味は分かり、使う勘定科目も何となく分かるものの、

「どっちが借方だった?」

と毎回迷う場合です。

この状態なら、2級の個別論点よりも前に、簿記の基本へ戻った方がよい可能性があります。

たとえば、

  • 資産
  • 負債
  • 純資産
  • 収益
  • 費用

が増減したときに、借方・貸方のどちらへ記録するのかを確認します。

ここが曖昧なまま2級の仕訳を大量に暗記すると、覚える量が増えてしまいます。

まず、簡単な3級レベルの仕訳で、取引内容と勘定科目の増減から借方・貸方を判断できるか確認してみましょう。

例:商品10,000円を掛けで仕入れた場合

三分法で処理する場合、仕訳は次のようになります。

  • 借方:仕入 10,000円
  • 貸方:買掛金 10,000円

仕入という費用が増えるため借方に記録し、買掛金という負債が増えるため貸方に記録します。

「仕入は左、買掛金は右」と仕訳の形だけを覚えるのではなく、勘定科目の性質と増減から判断することが大切です。

基本的な仕訳でも毎回借方・貸方に迷うなら、2級の問題を進め続けるより、先に3級の基礎を復習した方が進めやすくなります。

原因② どの勘定科目を使うか分からない

借方・貸方は分かるものの、

「この取引は何という勘定科目を使うのか」

で止まる場合です。

このとき、勘定科目の名称だけを単語帳のように覚える方法もありますが、それだけでは問題文が変わったときに対応しにくくなります。

まず、

この取引で何が起きたのか

を確認します。

そのうえで、

その内容を会計上どの勘定科目で表すのか

を結びつけます。

たとえば新しい勘定科目が出てきたら、名称だけを見るのではなく、

  • 何を表す科目なのか
  • どのような取引で使うのか
  • 資産・負債・純資産・収益・費用のどこに位置づけられるのか

まで確認します。

なお、日本商工会議所は2級・3級について「商業簿記標準・許容勘定科目表」を公開しています。

ただし、この勘定科目表は学習者の利便性に配慮して作られたものであり、掲載されている勘定科目すべてがそのまま出題範囲を示しているわけではありません。

勘定科目表を丸暗記するのではなく、学習している論点の中で各科目の意味を理解していきましょう。

原因③ 解説を見れば分かるが自力では仕訳できない

問題を解けなかった後に解説を見ると、

「そうだった」

とすぐ理解できることがあります。

しかし、翌日に同じような問題を出されると、また解けない。

この状態では、

理解できていない

というより、

自分で仕訳を組み立てる練習が足りていない

可能性があります。

テキストや解説を読む時間だけを増やすのではなく、

問題文だけを見る
↓
自分で仕訳する
↓
答えを確認する
↓
間違えた理由を確認する
↓
時間を空けてもう一度解く

という練習へ切り替えます。

ここで大切なのは、解説を読んだ直後に解けたことだけで「できるようになった」と判断しないことです。

時間を空けても、何も見ずに仕訳できるか確認します。

原因④ 同じ仕訳を何度も間違える

何度も解いているのに、同じ種類の仕訳を間違えることがあります。

この場合、

「また間違えたから、もう一度解こう」

だけではなく、何を間違えているのかを確認します。

たとえば、

間違い方確認すること
問題文を読み違えた取引内容
科目を間違えた勘定科目の意味
左右を逆にした借方・貸方
金額だけ違った計算方法
条件を見落とした問題文の読み方

というように分けられます。

同じ問題を5回間違えていたとしても、

5回とも同じ理由で間違えている

とは限りません。

たとえば最初は勘定科目を間違え、次は金額計算を間違えているかもしれません。

その場合、

「この仕訳が苦手」

とまとめるより、

勘定科目は理解できたが、金額計算に問題が残っている

と考えた方が次に何を勉強すればよいか明確になります。

間違えた問題を記録するときも、正しい仕訳だけを書き写すのではなく、

なぜ間違えたのか

を短く残しておくと復習しやすくなります。

原因⑤ 仕訳問題は解けるのに総合問題で使えない

単独の仕訳問題なら解けるのに、決算や財務諸表などの問題になると分からなくなる場合があります。

この状態なら、仕訳の基礎練習だけを増やしても解決しない可能性があります。

必要なのは、

仕訳を作る

ところから、

その仕訳がその後の会計処理にどうつながるのか

まで理解を広げることです。

たとえば、単独の問題では「この取引を仕訳しなさい」と明示されています。

しかし、より大きな問題では、自分で問題文から必要な処理を判断しなければならない場合があります。

この段階では、

仕訳問題を解く
↓
論点ごとの問題を解く
↓
複数の処理を含む問題を解く

と演習範囲を広げます。

個別の仕訳を何十問も追加するより、仕訳を使って処理する問題へ進むタイミングです。

仕訳を間違えたら「正解を見る」だけで終わらせない

仕訳問題で間違えたときは、正しい仕訳を書き写すだけで終わらせず、原因を確認しましょう。

具体的には、次の5点を順番にチェックします。

  1. 取引内容を正しく理解していたか
  2. 適切な勘定科目を選べたか
  3. 借方・貸方を正しく判断できたか
  4. 金額を正しく計算できたか
  5. 問題文の条件を見落としていなかったか

間違えた原因が分かれば、復習すべき内容も明確になります。

仕訳問題集を追加する前に確認する

仕訳ができないと、

「問題数が足りないのでは?」

と考えて、仕訳問題集を追加したくなることがあります。

もちろん、問題演習そのものが不足しているなら問題数を増やす意味があります。

しかし、

借方・貸方の基本が分からない

状態で問題数だけ増やしても、同じ間違いを繰り返す可能性があります。

反対に、

基本は理解できているが自力で解く回数が少ない

のであれば、問題演習を増やす意味があります。

教材を追加する前に、

今の教材を理解できていないのか
↓
理解しているが演習量が足りないのか
↓
基本問題は解けるので次の段階へ進むべきなのか

を確認しましょう。

教材は「何冊持っているか」ではなく、今の学習段階で必要なものがそろっているかで判断します。

関連記事:簿記2級のテキストはどう選ぶ?独学で必要な教材と買い足す判断基準

3級の仕訳まで戻った方がよいケース

2級の仕訳ができないからといって、必ず3級を最初から勉強し直す必要はありません。

まず簡単な3級レベルの仕訳を解いてみます。

そこで、

  • 取引内容を理解できる
  • 基本的な勘定科目を選べる
  • 借方・貸方を判断できる

のであれば、3級全体へ戻る必要はないでしょう。

2級で新しく学んだ論点の理解を確認します。

一方、

現金や売掛金など基本的な取引でも借方・貸方に迷う

資産・負債・純資産・収益・費用の増減を判断できない

といった状態なら、2級の問題を解き続けるより、3級の仕訳まで戻る意味があります。

ここでも目的は、

3級をもう一度最初から完璧にすること

ではありません。

2級を進められるところまで基礎を戻すこと

です。

3級から2級へ進むときに何を復習すればよいか迷っている場合は、3級との違いも確認してください。

関連記事:簿記2級は3級と何が違う?勉強を始める前に知っておきたい5つの違い

ネット試験を受けるなら仕訳問題の操作方法も確認する

簿記2級には、パソコンを使って受験するネット試験があります。

日本商工会議所によると、ネット試験の仕訳問題では勘定科目を選択式(プルダウン方式)で回答します。

また、金額や勘定科目名を入力する形式の問題もあります。

そのため、ネット試験を受ける予定なら、

仕訳を理解すること

だけでなく、

パソコン上で問題を解く形式に慣れておくこと

も本試験前に確認しておきましょう。

紙で仕訳できることと、パソコンで問題なく解答操作できることは分けて確認します。

ネット試験と統一試験のどちらを受けるか決めていない場合はこちらで違いを整理しています。

関連記事:簿記2級はネット試験と統一試験どっちがいい?違いと選び方を解説

仕訳の学習状況を3段階でチェックする

仕訳をどこまで勉強できているかは、3段階で確認できます。

STEP1 解説を確認すれば仕訳できる

新しい論点を勉強した直後の段階です。

まだ何も見ずに解けなくても、解説を確認すれば、

「なぜこの勘定科目を使うのか」

「なぜ借方・貸方がこの位置になるのか」

を説明できる状態を目指します。

ここで仕訳の形だけを覚えるのではなく、理由まで確認します。

STEP2 何も見ずに仕訳できる

次に、問題文だけを見て自力で仕訳します。

取引内容を理解する
↓
勘定科目を選ぶ
↓
借方・貸方を判断する
↓
金額を計算する

ところまで、解説なしで進めます。

一度解けただけで終わらせず、時間を空けてもう一度確認しましょう。

STEP3 総合問題の中でも必要な仕訳を判断できる

最後は、

「この取引を仕訳しなさい」

と単独で問われなくても、問題の中から必要な会計処理を判断できる状態を目指します。

ここまで進んだら、単独の仕訳問題だけを繰り返すのではなく、複数の論点を含む問題や本試験形式の問題へ演習を広げます。

仕訳そのものをゴールにせず、仕訳を使って2級の問題を解けることを目標にします。

仕訳ができない原因を特定してから練習しよう

簿記2級の仕訳ができないとき、

「もっと覚えなければ」

「もっと問題を解かなければ」

と考えがちです。

しかし、その前に確認したいのは、なぜ仕訳できなかったのかです。

借方・貸方が分からない
↓
勘定科目を選べない
↓
解説を見れば分かるが自力では解けない
↓
同じところを繰り返し間違える
↓
単独の仕訳はできるが総合問題では使えない

では、戻る場所が違います。

まず原因を特定し、必要なところまで戻ってから問題を解き直しましょう。

それでも仕訳だけでなく、商業簿記・工業簿記を含めて独学全体が予定どおり進まない場合は、仕訳だけの問題ではない可能性があります。

その場合は、現在の教材や学習方法で改善できるか確認し、独学を続ける条件そのものを見直してみてください。

関連記事:簿記2級は独学で合格できる?始め方と「独学を続けるか」の判断基準

複数の論点で理解が進まず、質問できる環境や体系的な講義が必要だと感じる場合は、通信講座を比較するのも一つの方法です。

関連記事:簿記2級の通信講座を比較|必要なサポートから選ぶ

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