社労士試験の選択式で足切りを防ぐには?基準点割れの原因と勉強法

社労士

社労士試験の選択式は、総得点が高くても、1科目で合格基準点を下回ると不合格になる試験です。

「択一式はある程度解けるのに、選択式では点数が安定しない」「過去問で見たことのない文章が出ると、空欄を埋められない」と悩んでいる人もいるでしょう。

選択式で基準点割れを防ぐには、単に暗記量を増やすのではなく、空欄を埋められなかった原因を特定し、科目ごとに対策を変えることが重要だと考えています。

筆者も2026年度の社労士試験を受験し、選択式は40点満点中22点でした。労働基準法・労働安全衛生法が2点、労働一般常識が2点、社会保険一般常識が1点と、複数の科目で原則的な基準点の3点に届きませんでした。

この記事では、選択式の合格基準を確認したうえで、基準点割れにつながる原因と、具体的な学習方法を解説します。

社労士試験の選択式はなぜ足切りが怖いのか

選択式は8科目・40点満点

社労士試験の選択式は、8科目から各1問が出題され、1科目5点、合計40点満点です。

文章中の空欄に当てはまる語句や数字を、語群から選んで解答します。

合格には、選択式の総得点だけでなく、科目別の合格基準も満たす必要があります。

例えば、7科目で高得点を取れても、残りの1科目が基準点を下回れば、選択式の合格基準を満たせません。

つまり、得意科目で得点を積み上げることと、苦手科目で基準点を確保することの両方が必要です。

科目別の基準点は原則3点だが、年度によって補正される

選択式の科目別合格基準は、原則として各科目3点以上です。ただし、試験の難易度や受験者の得点状況などを踏まえ、年度によって補正される場合があります。

2026年度の選択式の合格基準は、総得点25点以上、各科目3点以上でした。ただし、雇用保険法については2点以上に補正されています。

項目2026年度の合格基準
選択式の総得点25点以上/40点
科目別の基準点原則3点以上/5点
補正された科目雇用保険法:2点以上

科目別基準点の補正は、受験生が事前に確実に予測できるものではありません。

そのため、学習段階では「難しい科目なら2点でも大丈夫だろう」と期待するのではなく、原則的な3点を安定して確保できる状態を目指すことが基本になります。

なお、ここで紹介した合格基準は2026年度のものです。最新年度の基準は、合格発表後に公表される公式情報を確認してください。

選択式で基準点割れにつながる4つの原因

選択式で得点できない原因は、すべてが暗記不足とは限りません。

同じ不正解でも、知識そのものがない場合と、知っている制度を空欄に当てはめられなかった場合では、必要な対策が異なります。

1.重要な語句や要件を正確に覚えていない

制度の概要は理解していても、条文に使われている重要な語句や、具体的な要件を正確に覚えていないケースです。

例えば、ある制度の対象者や支給要件を大まかに説明できても、空欄に入る具体的な表現を選べないことがあります。

この場合、テキストを読み直すだけではなく、重要な語句や要件を、何も見ずに思い出せるかを確認することが大切です。

空欄を埋める練習をした後に、その語句が使われる理由や制度上の意味まで説明できるかを確認すると、単なる文章の暗記に偏りにくくなります。

2.文章の意味はわかるが、正しい語句を選べない

選択式では、空欄の前後の文章から、必要な語句を判断しなければなりません。

制度の内容を知っていても、似た意味の語句が並ぶと判断に迷うことがあります。

このような場合は、正解した語句だけを覚えるのではなく、なぜほかの候補ではなく、その語句が当てはまるのかを確認しましょう。

特に、法律上の定義や要件を表す語句については、日常的な言葉の意味だけで判断しないことが重要です。

3.過去問にない文章や論点に対応できない

選択式では、過去問と同じ文章が出題されるとは限りません。

問題集で見慣れた文章なら正解できても、初めて読む条文や資料が出ると、判断できなくなる場合があります。

この課題に対しては、過去問の空欄と正解語句をセットで覚えるだけでなく、テキストや条文の前後関係を理解する学習が必要です。

例えば、重要な条文を読む際には、その規定が何を目的としているのか、誰を対象としているのか、どのような条件で適用されるのかを確認します。

ただし、試験範囲のすべての条文を同じ深さで暗記するのは現実的ではありません。まずは基本事項や重要な論点を優先し、理解を広げていきましょう。

過去問で学ぶ範囲と補うべき内容の整理には、過去問だけで足りるかを判断する考え方と復習方法も参考になります。

4.一般常識の出題範囲を十分にカバーできていない

労働一般常識と社会保険一般常識では、個別の法律だけでなく、労働経済や社会保障制度など幅広い知識が問われます。

特に、統計や白書などを含む分野では、過去問で扱われていない内容が出題されることもあります。

一方で、出題される可能性のある資料をすべて暗記するのは難しいため、学習範囲を無制限に広げることはおすすめしません。

まずは主要な法令・制度の基本事項を固め、そのうえで受験年度に対応した統計や白書の重要事項を確認することが現実的です。

一般常識で得点できなかった場合も、法令知識の不足なのか、統計・白書への対応不足なのかを分けて分析しましょう。

選択式で3点を確保するための勉強法

科目別の基準点割れを防ぐには、苦手な論点を見つけるだけでなく、学習の優先順位を決める必要があります。

ここでは、筆者が次回試験に向けて重視したい学習方法を紹介します。

重要な条文は語句だけでなく前後の文脈を確認する

条文の一部分だけを暗記していると、異なる箇所が空欄になった場合に対応できないことがあります。

そのため、重要な条文については、空欄にされた語句だけでなく、前後の文章や制度の趣旨も確認しましょう。

例えば、条文の目的、対象者、適用要件、例外を意識して読むと、語句同士の関係を整理しやすくなります。

特に、目的条文や定義規定などは、文章全体の意味を把握することを重視します。

ただし、すべての条文を丸暗記する必要があるという意味ではありません。重要度に応じて、正確に覚える部分と、制度の意味を理解する部分を分けることが大切です。

空欄を見てから答えを選ぶ前に、自分で語句を思い出す

選択式の問題演習では、語群を見る前に、空欄に入りそうな語句を自分で考えてみる方法があります。

語群を見れば正解できても、何もない状態では語句を思い出せない場合、知識の定着が十分でない可能性があります。

もちろん、本試験では語群を使って判断するため、すべての語句を自力で再現できなければならないわけではありません。

この方法の目的は、語群があるから正解できているのか、知識として理解・記憶できているのかを区別することです。

思い出せなかった語句については、テキストで意味や要件を確認し、後日もう一度答えられるか試してみましょう。

苦手科目は3点に届かない原因を論点別に整理する

模試や問題演習で2点以下だった科目は、科目全体を苦手と決めつける前に、どの論点で失点したのかを確認します。

例えば、5つの空欄のうち、基本的な要件を問う問題を間違えたのか、細かな例外や未知の統計を問う問題を間違えたのかでは、復習の優先順位が異なります。

次のような簡単な表を使うと整理しやすくなります。

確認項目記録例
科目労働基準法・労働安全衛生法
得点2点/5点
失点原因定義の混同・条文知識不足
優先する復習重要な定義規定の確認
再確認方法別の空欄補充問題で判断する

※記録例は学習方法を説明するための架空のものです。

ただし、選択式は1科目5つの空欄しかないため、1回の試験結果だけで苦手分野を断定することはできません。

複数回の問題演習や模試の結果も合わせて確認し、繰り返し失点している論点を優先しましょう。

択一式でも失点が続く場合は、択一式の失点原因の分類と復習の優先順位を参考に、それぞれの課題を整理しましょう。

すべての科目を同じ時間配分で勉強しない

選択式の基準点割れを防ぐには、科目間の学習時間の配分も重要です。

得意科目をさらに伸ばすことが必要な場合もありますが、苦手科目で基準点を下回るリスクが高い場合は、そちらの改善を優先する価値があります。

ただし、得点の低い科目だけに学習時間を集中させると、ほかの科目の知識が抜けてしまう可能性もあります。

基本的な学習を継続しながら、苦手科目の重要論点に追加の時間を配分する方法が考えられます。

選択式対策を学習全体に組み込む際は、再受験に向けた勉強法と学習計画の立て直し方も参考にしてください。

選択式22点だった筆者の2026年度本試験の振り返り

筆者は2026年度の社労士試験を受験し、選択式22点、択一式43点の合計65点で不合格となりました。

選択式では、次の3科目が原則的な科目別基準点である3点に届きませんでした。

科目得点
労働基準法・労働安全衛生法2点
労働一般常識2点
社会保険一般常識1点

2026年度は雇用保険法のみ科目別基準点が2点に補正されたため、上記3科目はいずれも実際の合格基準にも届いていません。

この結果を振り返ると、制度の概要は理解していても、細かな要件や例外、期間の違いについて曖昧な知識が残っていたと感じています。

また、択一式の問題演習で正解できることと、選択式で重要な語句を正確に選べることは、必ずしも同じではないと考えるようになりました。

ただし、これらの反省点が実際の失点にどの程度影響したのかを、正確に検証できているわけではありません。

今後は、重要な条文や制度の要件を確認するときに、文章を見て理解するだけでなく、語句を思い出し、その意味を説明できるかまで確認する方針です。

また、一般常識については、主要な法令知識と統計・白書対策を分けて管理し、学習範囲の偏りを減らしたいと考えています。

これらの学習方法がどの程度効果を持つかは、今後の模試や問題演習の結果を通じて検証していきます。

選択式対策のために教材や通信講座を追加すべきか

選択式で基準点を下回ったからといって、必ずしも専用教材や通信講座を追加する必要はありません。

現在のテキストや問題集を使って改善できる課題もあるため、まずは失点原因を確認することが重要です。

例えば、重要な条文や基本事項の復習が不足している場合は、手元の教材を使った学習方法の見直しから始められます。

一方、次のような場合は、教材の追加や通信講座の利用を検討する余地があります。

  • 選択式の問題演習量が不足している
  • 条文の重要箇所を自分で整理するのが難しい
  • 統計や白書の学習範囲を絞れない
  • 最新の法改正や試験傾向への対応に不安がある
  • 自分の弱点に合わせた学習計画を立てられない

教材を選ぶ場合は、問題数や価格だけでなく、解説の詳しさ、対応年度、法改正への対応状況、学習サポートなどを確認しましょう。

特に再受験者は、すでに理解している内容を最初から学び直す必要があるのか、弱点だけを補強できる教材が適しているのかを考えることが大切です。

通信講座の利用を検討する場合は、再受験で不足する対策に合った通信講座の選び方も参考にしてください。

教材や講座の追加は、学習上の課題を解決するための手段であり、購入すること自体が目的ではありません。

まとめ|選択式の足切り対策は苦手科目の原因分析から始める

社労士試験の選択式では、総得点だけでなく科目別の合格基準を満たす必要があります。

そのため、得意科目で高得点を取るだけでなく、苦手科目でも基準点を確保できる学習が重要です。

選択式で点数が伸びないときは、知識不足、語句の混同、初見問題への対応不足、一般常識の学習範囲など、原因を分けて考えましょう。

また、重要な条文は前後の文脈まで確認し、語群を見る前に語句を思い出す練習を取り入れることで、自分の理解度を確かめることができます。

筆者自身も、2026年度の選択式22点という結果を踏まえ、重要語句の理解と再現、科目別・論点別の弱点分析を重視する学習へ見直していく方針です。

「覚えたつもり」を減らし、重要な語句を根拠とともに判断できる状態を目指すこと。

それが、選択式の基準点割れを防ぐために、まず取り組みたい学習改善です。

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